漫画かくかくしかじかで考える「作品を生み出すエネルギーとは?」
漫画家東村アキコの自叙伝的ストーリー
漫画家志望の主人公が、美大受験を志すところから物語は始まります。
私の周りには美大生も卒業者もいません。
田舎に美を追求する人間は生息していないと思いきや、まさか舞台は宮崎!
私たち北部九州の人間は、宮崎のことを「九州の北海道」と呼んでいるんだけど
なに?意味がわかんない?
道路事情が悪すぎて、飛行機で行かないと死にそうな目に合うからです。
いや~それにしても、美大受験ってこんなに大変なの?
それに美大って、こんなに金がかかるもんなの?
知られざる「美大」の真実!もスゴイが
なんたってこの漫画の一番の面白さは
宮崎の絵画教室の先生の突き抜けたキャラ!
あんまり言うとネタバレになっちゃうけど
お前ら それじゃ受からんどーっ
描け描け描け描けーッ
もっと描けーッ
美術大行きたいなら、もっと気合入れて描け
オンドリャー
お前・・・ ヘタクソすぎて紙もったいないわ!! 紙に謝れ! 「汚してすいません」って謝れ!
面白すぎるセリフと言動のオンパレード。
「オンドリャー」が活字になったトコ、初めて見たような。
私、「オンドリャー」と言いながら、ガキ大将と殴り合いのケンカしてたけど、この言葉を使うのは小学生以来だよ。
まぶしいくらい(あるいはハタ迷惑)のエネルギーを持った絵画教室の先生。
芸術家っていうのは、こういう人じゃないとやっていけないかもしれません。
しかも、あふれんばかりの心のエネルギーを持っているだけではダメ、作品にソレを乗せることができる人。
作者の東村アキコ氏は「先生の教えを生かせていない」と作中で嘆いていたけど
なんのなんの。彼女も自分のエネルギーを、うまく作品に乗せていると思います。
それとも、これは天性のものなのでしょうか。
絵画教室の先生も「在学中に一緒に二人展をするぞ」と声かけています。
他の生徒に言っているシーンはないので、彼女はモノになると思っていたようです。
モノになると思われていた作者ですが、恵まれた「美大」という環境に身を置いた途端、スランプに落ち込むのです。
才能ある人でも、相当自分を追い込まないと、作品にエネルギーを乗せることは困難だったようです。
私のような凡人は「天からナニカが降りてきて」作品ができると思い込んでいましたが
実際は、ギリギリまで自分を追い込んだ極限状態で「ナニカ」が出てきて、作品に乗り移るのかもしれません。