なぜ日本的思考は変化に対応できないのか【書評】「超」入門失敗の本質
日本組織の問題点について果敢に取り組んだ本
本書は、名著「失敗の本質」をビジネスで役立てることを目的とした解説本です。
「失敗の本質」は、日本が70年前に経験した大東亜戦争時の日本軍の組織を分析した本です。
なぜ日本軍が負けたのかを、国力の差ではなく、作戦や組織による「戦い方」の視点から解説しています。
示唆に富んだ名著ですがやや難解な「失敗の本質」を、現代ビジネスと比較させながら解説したのが「超」入門失敗の本質です。
- 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1991/08
- メディア: 文庫
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本書の概要
- 序章 日本は「最大の失敗」から本当に学んだのか
- 第1章 なぜ戦略があいまいなのか
- 第2章 なぜ「日本的思考」は変化に対応できないのか?
- 第3章 なぜ「イノベーション」が生まれないのか?
- 第4章 なぜ「型の伝承」を優先してしまうのか?
- 第5章 なぜ「現場」を上手に活用できないのか?
- 第6章 なぜ「真のリーダーシップ」が存在しないのか?
- 第7章 なぜ「集団の空気」に支配されるのか?
現代日本人へのメッセージとしての「失敗の本質」
本書には、さまざまな会社の事例が紹介されていて、それも興味深く読める一因となっています。
「間違った勝利の条件を組織に強要する」をテーマとした章で紹介された事例に、コンチネンタル航空があります。
コンチネンタルCEOが当時のことをこう語っています。
私が入るまでのコンチネンタルも、当然成功を目指して頑張っていた。
ただ、一つのことにしか目を向けていなかった。
それはコストだった。
コスト削減を最優先したため、従業員の給料は哀れなほど安く、商品は目も当てられないほどお粗末になった。
まさに骨身を削り、死ぬほど頑張っても、成功のカギを発見できなかった理由はここにある。
成功のカギはコストでなかったからだ。
コンチネンタル航空がその後どのようにして、本当の成功のカギを見つけたかは本書を読んでいただくことにして
「戦略」が大好きで、ご飯にのっけて食べれる方には、きっと面白く読めるでしょう。
そこまで戦略が好きでなくとも、ビジネス書としても充実した内容の本書です。