NHKスペシャル「ニッポン空き家列島の衝撃」
今回の記事は、1月10日午後9時より放送されたNHKスペシャル「ニッポン空き家列島の衝撃」の内容をご紹介したいと思います。
戦争で家を焼かれた人や戦地から復員してくる人、戦後のベビーブームなどで、戦後の日本は住宅が不足していました。
そのため、家を建てる人たちへの優遇政策がとられていました。
しかし、戦争直後には重要だった政策が、人口減少の平成日本に大きな影を落としています。
1月10日に放送された番組は、今の日本が抱えている空家問題をわかりやすく解説していました。
どういう内容かざっと要約すると
- 資産と思われていたマイホームだが、人口減少が進むため、売ることも貸すこともできず、税金を払い続けるだけの「負の遺産」になりかねない。
- すでに空き家の問題は、全国で深刻化し始めている。空家が増えると町全体がゴーストタウン化し、税収の落ち込みから破たんする市町村も出てくる。
- 水道などインフラの維持費用の負担の増大から、コンパクトシティを目指す動きが加速しているが、先行きは見えないまま。
この不動産問題は、私も以前の記事で取り上げました
不動産は「負動産」になるのか?【書評】文藝春秋2015冬号 - りんどうのマニアな図書室
コンパクトシティどころか拡大する町
空き家も更地にすると売りやすいのですが、そうすると固定資産税が6倍になるそうです。
たとえば家が建っていると20万円の固定資産税で済むところが、更地にすると120万円かかります。
固定資産税を更地にしても安くすればいいのですが、市町村としても大事な財源なので手を付けたくないようです。
住宅を販売する側から見れば、点々とした土地を分譲するよりも、現在の住宅地の外に広がる農地を住宅地にして販売したほうが効率がよいので、どんどん町が拡大しているのが現状です。
空き家が目立ってきた旧住宅地の外に、新興住宅地が広がる現象が起きているのが現在の日本なのです。
介護サービスを受けるために引っ越す時代になる?!
番組の中で、ある若手評論家が
「自分の母親には、10分で救急車がきてくれる便利な街中に住んでほしい」とお願いしている話をしていました。
その発言に対する反論で、60代女性から
「住み慣れた家を離れて、子供の家に引っ越した高齢者がどんどん痴呆状態になっていっている。できれば住み慣れた土地で暮らし続けたい」という発言をされていました。
なるほど。私の周りにも、子供の住む土地に引っ越してから痴呆状態になられた高齢者が多いので、60代女性の発言にはとても共感しました。
しかし、次の発言を聞いて考え込みました。
「今の在宅介護サービスの問題点として、介護業者の移動時間の長さが問題になっている」
介護が必要な人が、遠方にバラバラに住んでいる現状は、支える側の負担が大きいそうです。
これから増えていく高齢者を、少ない働き手で支える時代。
介護者の負担軽減は重要な問題になるでしょう。
住み慣れた土地か、より良い介護サービスを受けるために利便性のよい土地に引っ越すか、選択を迫られる時代が確実にこようとしています。