不動産は「負動産」になるのか?【書評】文藝春秋2015冬号
「負動産」ってなんだ?!
本屋で立ち読みし面白くて購入したのがこの雑誌
サブタイトルに「日本最強論」とあって、日本の強みについて特集を組んでいます。
特に興味深いと思ったのが「負動産」時代の価値観革命という一節です。
私も昭和の価値観を持っている人間なので、漠然と「マイホーム」はいずれ購入するものと思っていました。
その概念に疑問を持ったのは、十数年ほど前に「これから日本の人口は減っていく」事実を知ったときです。
「じゃあ、人が減るなら家は余るの?よく考えれば親世代はこぞって家を買っているよね。子供世代で相続する人もいるから余計住宅地は余るよね」と思ったのです。
ということは、場所によっては不動産価格は下落し戻らない?
財産と思われているマイホームが財産でなくなる?
できるだけ若いうちにマイホームを購入するのが昭和の常識でした。
親も周りもそう言っていました。
でも、親譲りの価値観をそのまま鵜呑みにするのは、実は危険なのかもしれない・・・・
余談ですが、そのときから私の興味は「人口減少時代に人々のライフスタイル、価値観はどう変わるか?」に絞られ、読む本もヒントになるような本になっていきました。
だからブログでご紹介する本も実用書が多いのです。
家が余り続ける日本。そして空家問題がこれから深刻化する首都圏
私の周りにも、親が住んでいた家が空家になり、管理のため時々実家に行っている人が結構います。
「地方に年老いた親だけが住んでいた家」は、息子たちは大都市へ移り住み、近隣に残った娘が管理をしている状態です。
管理している娘は嫁ぎ先の家があるし、息子たちは仕事のない実家には戻れない。
誰も欲しがらないけど、相続権は誰も手放さない
で、売ろうにも売れない家になっています。
この光景が、2040年ごろには首都圏でも起こり始めると言われています。
2040年には首都圏の人口の35%が高齢者になります。
つまり「地方に年老いた親だけが住んでいた家」が、場所を変えて、首都圏郊外に「年老いた親だけが住んでいる家」が現れだします。
子供世代は、地価の下落とともに郊外から大都会に移り住んでいて、いまさら通勤時間の長い郊外に戻るのはいやでしょう。
「東京の一軒家」といえども、場所によっては誰も譲り受けたくない資産となる可能性があります。
首都圏でさえこうなのですから、地方で不動産を買うときは場所をよくよく選ぶ必要があります。
時々価値観の点検をしようね
ホント、自分が無意識に刷り込んでいる価値観の棚卸をしないといけないな~、と実感する不動産の話でした。
他にも文藝春秋2015冬号には、石原慎太郎氏が書いた記事もあり面白い内容でした。
石原さんといえば、尖閣諸島にピンポンダッシュして騒動を引き起こしただけの人のイメージが強かったけど、領土問題(竹島だけど)の解決策も記事に載せていたんです。
それはね「竹島を日・韓共同でダイナマイトで爆破」するですって!
私もこの解決策が一番だと思うな(笑)
読んでもらえるブログとは?【書評】文章力の基本
読んでもらえるブログとは、さくさく読める文章で成り立っている
面白そうな記事タイトルに惹かれてクリックしたのはいいけれど
読むのを途中でやめてしまうブログってありませんか?
私が途中で読むのをあきらめてしまう記事には、ある特徴があります。
①行間が詰まっている
②一文が長い
③専門用語が多い(私が無知なだけなんですが)
行間が詰まっていると、圧迫感があって読むのに負担を感じます。
でも、ア〇ブロみたいにスカスカだとムカっとくるので、そこはほどの良さが必要ですね。
②の「一文が長い」と読みにくいと思う理由は、日本語の構造を考えれば納得しますよ。
英語は述語(結論)が早い段階で登場します。
日本語はそれが文末にきます。
日本語の場合、長い文章だと、述語が出てくる前の文章を全部記憶しないと意味が分からなくなります。
だから、日本語の長い文章は、頭が疲れるのです。
※上記文章は「文章力の基本」から引用させていただきました。
- 作者: 阿部紘久
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
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もっと勇気を持てば、面白いブログになる
日本語の文法上の特徴を考えると、「はっきり・短く・言い切る」のがわかりやすい文章になります。
しかし、ここで問題が発生します。
言い切ること、それは断定する文章になりがちです。
私を含め多くの日本人には、断定することをはばかる心理がありませんか?
はっきり言い切ってしまうと、その言葉に責任を持たなければならないと思うからでしょう。
そして、意見を言うなら正解を言わないといけないという思い込みもあるでしょう。
でも、読んでいて面白いブログとは、「正しい意見のブログ」ではなくて「個性が反映されたブログ」ですよね。
だから、言い切ることは怖いけど逃げ腰はやめてみようと思っています。
自分はどんな意見を持っているのか、どうありたいのか、どんな役割を果たしていきたいのか、ブログを通して考え続けたい、発信していきたいと願っています。
それに何にも伝わらない文章は、ネットのノイズとなるだけですものね。
胆石治療についてわかったことをまとめてみました。
今年胆石発作を起こして、胆のう除去手術をしたダンナの経過について書き残しておきます。
紀元前1500~1600年頃の胆石持ちのミイラが見つかっているように、胆石とは結構ポピュラーな病気です。
女性に多いと言われていますが、私の周りで胆のう除去手術をしたのは中高年男性ばかりですね。
胆石を保持している人の大半は、症状の無い無症状胆石で、人間ドックで発見されることも多く、胆石症の症状を起こす人は1~3%と言われています。
残念ながら、ダンナはこの1~3%に該当してしまいました。
胆石も人によって色も形も全然違うそうです
2014年にお別れしたのは「胆のう」でした(胆のう摘出したダンナの話だけどね) - りんどうのマニアな図書室
胆のうが無くなったら不便?
手術後10日以上経ちましたが、今のところは不便はなさそうです。
天ぷら、フライものは避けて、魚料理中心で献立を組み立てています。
胆のうが無くなると油を消化しにくくなって下痢をしやすくなるそうですが、今のところは快便のようです。
手術後の食事は?
病院では翌日から普通食が出ていました。魚のフライやすき焼きなどの普通の献立でした。
我が家に戻ってからは、和食中心にスパゲッティ、焼きそばなどで変化を出しています。
手術前のほうが用心して超低脂肪食にしていましたが、どうしてもあっさりしすぎた食事になり、口さみしさから甘いものを多く取っていました。
どうやら適度にアブラっ気を入れた食事のほうが、糖尿病の心配をしなくて済むようです。
今は過度に飴やクッキーを食べることはなくなりました。
手術日数と費用
手術前日に入院して退院するまで5泊6日間でした。
入院費用は約16万円
入院する直前に2日間に分けて諸検査があり、約1万5千円程度かかりました。
手術後の痛みは?
手術後48時間、点滴に痛み止めの薬も入っていたので、傷の痛みを訴えることはありませんでした。
ただ、手術の時にお腹の中に空気を入れて、少しお腹を膨らませた状態で手術をする必要がありました。
術後このお腹の中に入れた空気が残っていたようで、とてもお腹が張る感覚に悩まされていました。
手術の翌日は浅くしか息ができないと訴え、さらにその翌日は身動きすると空気だまりが動く感覚があり、ヘンにお腹を刺激して苦しそうでした。
術後1週間は違和感があったようですが、日にちが経つほどに回復していきました。
職場復帰はいつからOK?
他に胆のう除去手術されたかたのブログを見ると、翌日から出勤される人もいらっしゃいました。
けれど、有給がとれるのなら最低でも退院後2日はお休みされたほうが無難だと思います。
やはり内臓と摘出するのですからね。
最後に
胆石があると胆のうの内側の組織が刺激を受け続け、ガンになりやすいと医師から説明を受けました。
今のところ明確な因果関係は立証されていませんが、胆のうガンでは高率に胆石が認められるそうです。
内臓摘出手術というと怖気づく気持ちになりますが、ほとんどの人が術後の経過が良いようです。
私の知人も手術成功後、重量物を運搬する仕事に復帰されました。
ここまで読まれている方の中には、胆石手術を控えている方がいらっしゃるかもしれません。
私が知る限り、みんな無事に以前の生活に戻られています。
我が家も今では以前の生活を取り戻しています。
この本はたとえ中途挫折しても読む価値がある【書評】高校生からわかる資本論
モノのように切り捨てられる労働者を見てマルクスは資本論を書いた
「働く人たちは単なるモノ扱いだ」と、マルクスが資本論を書いた時代を再現している現代日本。
マルクスの時代から140年も経っているというのに。
かつては一億総中流と言われ、日本の社会は世界一成功した共産主義とも揶揄されていました。
それがわずか10数年で、働く人が容赦なく切り捨てられる世の中になってしまいました。
なぜこのように日本社会が変質したのか、鮮やかに解説しているのがこの本です。
実は「資本論」を読破しようとして、私はこれまで2回挫折しています。
20代の時に読んで意味不明、30代の時にはわかったようなわからないような・・・で終わりました。
独学だったらこんなものでしょうが、資本論という本はなぜか忌避できぬものというイメージがありました。
東西冷戦の終結の影響は、こんな形で日本に現れた
ベルリンの壁が崩壊したときの高揚した気分をよく覚えています。
それは私だけではなく、日本全土をおおった感覚だったと思います。
「これから素晴らしい世の中になる」と本気で人々は信じていたのです。
壁が崩壊した後、ソ連解体、東ドイツは西ドイツに吸収されるような形で統一を果たし・・・と、世界は大激動の時代に入りました。
それでも日本には、冷戦終結自体は大きな影響を与えたようには見えませんでした。
しかし、社会主義国家が崩壊したことが、日本もおかしくなる原因となったのです。
「資本主義は社会主義に勝ったんだ。市場の力を生かしたからだ。市場マンセー!」と考え始めたのがつまづきの最初でした。
資本主義が先祖返りしたのが新自由主義
社会主義国が勝手にコケたのに、資本主義国は「資本主義がやっぱり優れているんだ。市場の力を生かしたシステムが素晴らしいのだ」と勘違いしてしまいました。
そこから「すべては市場、マーケットに任せましょう。そうすれば経済はさらに発展するでしょう」という新自由主義という考えが広まりました。
かつて冷戦時代に社会主義に人々が傾かないように、いろんな仕組みを作って労働者の権利を守ったのに、それらを撤廃し始めました。
「規制緩和」という名のもとに、いつの間にか日本はマルクスが生きていた時代の資本主義経済に戻っていきました。
日本はなぜ世界で唯一成功した社会主義と呼ばれたのか?
日本が先の大戦中に、戦争反対の声を上げた人たちがいました。
その人たちの多くはマルクス主義者だったのです。
戦時中は弾圧されていた彼らは、戦後一躍時の人となりました。
日本ではこうした経緯で、戦後しばらくはマルクス経済学が経済学の主流となりました。
だから戦後の日本の官僚、大企業のトップたちは学生時代にマルクス経済学を学んでいたのです。
資本主義というものは自由勝手にやっておくと労働者の権利が失われて労働者が貧しい状態になる、そうして革命がおこるんだよ、と日本の指導者層は学びました。
年を経てもその考えは、彼らの頭から消えませんでした。
ところが社会主義国がコケちゃったため、「マルクス経済学って間違いじゃないの?」という疑念がわきあがってしまいました。
その後主流になったのは、「国がマーケットに介入するのはよくない。マーケットに任せれば経済は発展する」と考える新自由主義を反映した経済学でした。
この新自由主義の考え方を持つ人たちが、どんどん役所に入ってくるようになり、様々な規制を撤廃し始めます。
それは「なんでも自由、就職する自由、失業する自由もありますよ」という謳い文句で、立場が弱い人を切り捨てることでもありました。
私の結論
上記までが前書き部分に当たります。実に内容が濃い本書です。
実は私は、この本を読破しないまま書評を書いています。
前書きに当たる部分を読んで、「おお!そうか!」と興奮して書評を書き始めてしまいました(笑)
この本は前書き部分だけでも読む価値があることを、皆さんにお伝えしたかったのです。
さっすが池上さん。こんなに高揚感を味わう読書体験は久しぶりでした。
2014年に読んで面白かった漫画を挙げてみるよ
今年も残りわずかとなったので、振り返り記事を書いてみることにします。
書評ブログとして出発したことをチラっと思い出したので、【2014年に読んで面白かった漫画】を挙げていきます。
漫画から遠ざかった社会人でも面白く読めそうな本をチョイスしてみました。
海街diary(うみまちダイアリー)6 四月になれば彼女は (フラワーコミックス)
- 作者: 吉田秋生
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/07/10
- メディア: コミック
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物語は鎌倉に住む3姉妹に、音信不通だった父の訃報が届くところから始まります。
明らかになる父のこれまでの生活、そして腹違いの13歳の妹の存在。
不倫・病気・死・金銭など、重くなりがちなテーマを扱っているのに、さらりと読ませる軽妙なタッチはさすが吉田ワールドです。
皆に愛された食堂のおばさんの遺産をめぐる話が特に良かったですね。
元外交官である佐藤優氏の体験を下敷きにした漫画。
アイ’ムホーム (上) (Big comics special)
- 作者: 石坂啓
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1998/11
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今から16年も前の作品ですが、まったく古さを感じませんでした。
一酸化中毒事故により、直近5年の記憶を失ってしまった中年の男性サラリーマンが主人公です。
彼は記憶を失った5年の間、前妻と離婚し、現在の妻と再婚して1児を授かっています。
しかし、彼には前妻となぜ離婚したのか記憶がないし、現在の妻を愛した記憶がありません。
主人公にとって家族と言えば、前妻と前妻との間に授かった娘なのです。
しかし、彼女らからは「もう家族ではない。あなたとは会いたくない」と言われてしまう(当たり前ですが)
このつらい状況から、ラストのハッピーエンドまで実に読ませる漫画です。
美術に関するウンチクを垂れたいなら、格好の教科書になります。
私は時々美術館に行きますが、そこで出会う若い女性の美女レベルが高いことに驚きます。
ハイレベルな知的美女を射止めたいなら、この漫画はとっても役に立ちます。
読んでみると、作者の博覧強記ぶりに驚きますよ。
重版出来を「じゅうはんしゅったい」と読むことを、この漫画で知りました。
漫画にかかわる様々な仕事人たちを軸に物語が展開していきます。
特に「数字は取るけど、新人を使い捨てる編集者」の描写がいいですね。
3巻ではいやな編集者かなと思わせといて、4巻で彼がなぜそのような編集者になったのかを描いています。
彼のような編集者がいるからこそ、雑誌は存続し、発表の場を失わないで済む作家がいるという現実。
社会人にも面白く読める仕事漫画です。
今年アニメ化されて大ヒットしたジャンプ漫画
高校のバレー部員たちの物語ですが、現役高校生よりも大人のほうが読んで「わかる、わかる」の部分が多いと思います。
特にインターハイ予選の常波高校の描写、あれは反則技モノの描写でしょう。
私はアニメから入ったのですが、あの池尻くんのモノローグでノックダウンしました。
ざっと思いつく限りを挙げてみましたが、社会人にも男性にもオススメできるのはこのくらいでしょうか。
2015年も面白い作品に出会えますように。
なぜ日本的思考は変化に対応できないのか【書評】「超」入門失敗の本質
日本組織の問題点について果敢に取り組んだ本
本書は、名著「失敗の本質」をビジネスで役立てることを目的とした解説本です。
「失敗の本質」は、日本が70年前に経験した大東亜戦争時の日本軍の組織を分析した本です。
なぜ日本軍が負けたのかを、国力の差ではなく、作戦や組織による「戦い方」の視点から解説しています。
示唆に富んだ名著ですがやや難解な「失敗の本質」を、現代ビジネスと比較させながら解説したのが「超」入門失敗の本質です。
- 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1991/08
- メディア: 文庫
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本書の概要
- 序章 日本は「最大の失敗」から本当に学んだのか
- 第1章 なぜ戦略があいまいなのか
- 第2章 なぜ「日本的思考」は変化に対応できないのか?
- 第3章 なぜ「イノベーション」が生まれないのか?
- 第4章 なぜ「型の伝承」を優先してしまうのか?
- 第5章 なぜ「現場」を上手に活用できないのか?
- 第6章 なぜ「真のリーダーシップ」が存在しないのか?
- 第7章 なぜ「集団の空気」に支配されるのか?
現代日本人へのメッセージとしての「失敗の本質」
本書には、さまざまな会社の事例が紹介されていて、それも興味深く読める一因となっています。
「間違った勝利の条件を組織に強要する」をテーマとした章で紹介された事例に、コンチネンタル航空があります。
コンチネンタルCEOが当時のことをこう語っています。
私が入るまでのコンチネンタルも、当然成功を目指して頑張っていた。
ただ、一つのことにしか目を向けていなかった。
それはコストだった。
コスト削減を最優先したため、従業員の給料は哀れなほど安く、商品は目も当てられないほどお粗末になった。
まさに骨身を削り、死ぬほど頑張っても、成功のカギを発見できなかった理由はここにある。
成功のカギはコストでなかったからだ。
コンチネンタル航空がその後どのようにして、本当の成功のカギを見つけたかは本書を読んでいただくことにして
「戦略」が大好きで、ご飯にのっけて食べれる方には、きっと面白く読めるでしょう。
そこまで戦略が好きでなくとも、ビジネス書としても充実した内容の本書です。
バカと利口のちがいはどこにある?【書評】バカが多いのには理由がある
「バカ」の定義
本書でいう「バカ」とは、ファスト思考(速い思考、いわゆる直感)しかできない人のこと。
人体に負荷がかかるスロー思考(遅い思考)を避けたがります。
たとえば 17×24= ? の暗算計算をしてみてください と問われて
珠算経験がない人は、計算中に心拍数や血圧が上昇し、筋肉が硬直する生理的変化が起こるそうです。
直感で判断できない(スロー思考を要求する)問題は、このような不快な生理反応を引き起こします。
反対にすぐに答えが出るファスト思考は、わかりやすくて快適です。
負荷のかかるスロー思考を人は無意識のうちに避けようとします。
その方法は原理的に2つしかありません。
- 遅い思考が必要な問題を無視する
- あらゆる問題をファスト思考(直感)で解こうとする
たとえば、上記の暗算にしても「電卓があるから、こんな計算に意味はない」と考えるやり方です。
もっと複雑な問題を前にしても「そんなことは私の人生になんの関係もない」と問題の存在自体を否定します。
さあ、あなたはファスト思考だけで生きていませんか?
本書の概要
プロローグ
- ファスト&スロー
- 正義と進化論
- 狂信はどのように生まれるのか
- 「光と徳の物語」としてのゼロ
政治
- ニッポンの右翼化
- 嫌韓と反中
- 「日本を取り戻す」政策
- ニッポンはどこへ行くのか
経済
- ブラックな国
- イエという呪縛
- 自虐的な経済政策
- 経済は面白い
社会
- ニッポンの暗部
- 腐った楽園
心理
- こころの内側
エピローグ
- 貧しい人をより貧しくするフェアトレード
- アフリカではなぜ手足が切断されるのか
ファスト思考しかできない私の読後感は・・・
もっと複雑な問題を前にしても「そんなことは私の人生になんの関係もない」と問題の存在自体を否定します。
してました。してましたよ(笑)
おまけに女性は直感力が鋭くて、よく問題の本質を突くんですよね。
一回それで正解が出ると、すべての問題を直感で解こうとします。
それは、手持ちの定規で、長さだけではなく温度や重さを量っていこうとする愚かさに似ています。
なぜ今スローな思考が必要なのか
スロー思考は文明が誕生してから必要になりました。
だから、スロー思考が必要になったのは、たかだか数千年。
人類に天敵がいた時代、スローに考えていたら食べられてしまいます。
だからファスト思考は、人類の標準的な思考なのです。
しかし、ファスト思考で生き延びてきた人類は、ファスト思考によって殺しあう時代を生きています。
相手の正義を否定することで生まれる戦争が各地で起きています。
特に領土問題は、「生物の縄張り」という本能に根差していますので、ファスト思考でお互いに考えると、平和的な解決は難しいものです。
世界が多様化して複数の「正義」が存在する今、スローな思考こそ皆が共存できる道だと、本書は指摘して終わります。
実に読み応えがある本なので、年末年始の時間ができるこれからにオススメしたい本です。