自分を決して壊れない機械のように扱わない【書評】今日もていねいに。
著者は「暮らしの手帖」編集長、松浦弥太郎氏です。
絵本で使われるようなやさしい言葉で、心の琴線にふれるエッセイを書かれる人です。
この本の中で、今の私にぴったりの一文がありました。
それは「自分のデザイン」というタイトルで書かれた章です。
ごく普通の人間であり、決して力持ちのゾウなんかじゃないのに、何トンもの荷物を抱えてはいけません。
いったい、自分はどれだけの荷物を持てるか、キャパシティを知っておくことは、とても大切です。
たとえば人付き合いの量。所有するモノの量。仕事の量。
仕事についても同様で、自分を決して壊れない機械のように扱ってはいけません。
(中略)
そもそも人は、求められる生き物です。
会社はたくさんの仕事を求めてきます。
家族やさまざまな人間関係も、さまざま役割を求めてきます。
いろいろな意味で、無理な要求というものは、誰にでも日々たくさん降りかかってくるものです。
それにどう応えるか、応えないか・・・・正しい判断をすることが、自分の暮らしと相手を守ることにつながります。
長いけど、一部を引用させていただきました。
私も、母であり妻であり、嫁であり、娘であり、妹であったり、職場のリーダーであったりしています。
必要とされるのはうれしいことだけれども、最近ふと思うことがあります。
「私は、誰かが背負うべき荷物まで、抱え込んでいないだろうか」と。
あまりにも重い荷物を抱えて生きていると、人間のどこかが壊れるような気がします。
私は体こそ壊しませんでしたが、あまりにも他人のニーズを優先させすぎて、自分のこころが何を望んでいるのか、すっかり分からなくなっていました。
「本当にやりたいことができたら何をしますか?」
ある人の問いにびっくりして即答できず、数日考えても答えが出ない自分に再びびっくりしました。
「やるべき事」ばかりしていた私は、いつしか機械のような人間になりかけていたのですね。
いろいろな要求というものは、誰にでも日々たくさん降りかかってくるものです。
そんな時は、ふと立ち止まって考えてみてください。
「私は、誰かが背負うべき荷物まで、抱え込んでいないだろうか」と。